2014年に発足し、「和食“鍋焼うどん”」×「伝統芸能“落語”」の魅力を多くの方々に伝達していくことを目指した文化啓発活動である『キンレイ心染プロジェクト』の卒業生インタビューページです。
第三十二回は日本大学芸術学部落語研究会より心染プロジェクトに参加した、江川航平(えがわ こうへい)さんにキンレイ心染プロジェクトや落語研究会での思い出、現在の活動について語って頂きました。インタビュアーはキンレイ心染プロジェクト卒業後、プロの漫才コンビ「まんじゅう大帝国」として芸能事務所(株式会社タイタン)に所属し活躍している田中永真さん・竹内一希さんです。
竹内 今回のお相手は、僕と同じく日本大学芸術学部落語研究会(以下:日芸落研)に所属していた夢天家 場和成(むてんか ばなな)こと江川 航平君です。
※竹内一希さんは2017年3月に日本大学芸術学部を卒業
※以下:江川君
田中 竹内と何学年違うの?
江川 5年離れてます。僕が入学した年に竹内さんが卒業しました。
田中 あ、そうなんだ。今はどんな仕事してるの?
江川 児童館の職員をしています。
竹内 そうだそうだ。ずっと気になってたんだけど、なんで児童館に就職したの?
江川 学生時代に大学近くの児童館でアルバイトをしていて、そこでの経験をきっかけに。
竹内 そうなんだ。じゃあ、ちゃんと就活してたんだね。
江川 いや!就活は全然やってなかったです。9月くらいからやっと就活を始めたので。
竹内 9月?これまでの卒業生と比べると、確かにちょっと遅いのかな?
田中 でも、3年生の9月でしょ?遅くもないんじゃない?
江川 いや!1年留年したので、5年生の9月からです。
田中 おっそ!バカ遅いじゃん!1年遅いよ(笑)。
竹内 インターンとかも考えたら卒業の1年半前から動きだすもんね。それを君は5年生の9月から始めたのか(笑)!
江川 はい!それで大失敗しまして。
田中・竹内 ははははは(笑)!そう甘くないよね(笑)。
江川 それで別プランとして、バイト先の居酒屋に就職しようかなあって考えていたら、今の職場の求人が出ていて、資格の欄に“芸術学を修了している者”って書いてあって。
竹内 お!日芸でもいいんだ!
江川 はい。ダメなら落ちるだろうなと思って。応募したら受かったので、無事に就職できました!居酒屋のバイトと掛け持ちで児童館のバイトもしていたのでタイミングもよかったです。
竹内 そうなんだ。そもそも日芸の演劇学科だったから、演劇方面の仕事に就くと思ってたよ。
田中 へえ、そうなんだ。コース(専攻)は?
江川 劇作コースにいました。今は舞台製作コースとかと統合されて別の名前になりましたけど。僕らの大先輩である三谷幸喜さんの時代の制度に戻ったらしいです。
田中 演劇学科って日芸の中でも倍率高いよね?
江川 僕がいた劇作コースは演劇学科で一番倍率が低かったです(笑)。で、なんとか入れました。
竹内 倍率の縫い目をかいくぐれば日芸なんて入れるんだよね(笑)。夢とか理想を捨てて忍び込むように(笑)。
田中 そうやって忍び込んで、他の学科とかコースに編入する人が増えたから、統合されちゃったんだよ(笑)!
江川 そうですね(笑)。
竹内 劇作コースに入学した当初はどういう将来を描いていたの?
江川 中学の時から演劇部だったので、演劇で食べていけたら良いなって考えていました。それで日芸以外に演劇を学べる大学を知らなくて。日芸に入学してから同期に「他にどこ受験した?」って話しになって、僕は演劇と関係のない大学を受けたりしていたんですけど、桜美林とか演劇を学べる大学があるって知って、ちょっと後悔しました(笑)。「もっと選択肢があったか!」って。
田中 高校の先生とかも芸術系の大学に詳しいわけじゃないだろうしね。落研に入ったのは演劇の勉強の一環として入ったの?
江川 それが、全く関係なくて。
田中 あら、なんでまた落研に?
江川 高校の時からなんとなく落語が好きで。高校の演劇部の顧問の先生から勧められてから、ちょくちょく聴くようになって。ただ寄席の存在は知らなくて、ホール落語に何回か行ったことあるくらいで。それで顧問の先生から「池袋とか新宿に寄席があって、安くてずっと居ていいから、行ってみな」って言われてから、お金があれば寄席に行くようになりました。
田中 すごく良い先生だね。
江川 それで、日芸の新歓で一個上の先輩に出会って、その人がテニスのボールとラケットを持っていて「これでテニスのリフティングをするから10回成功したら入部してくれ!」って言われて、2回くらいでボールがどっか行っちゃって。
竹内 ん?あれ?
江川 それで、別の先輩からちゃんと話を聞いて、入部しました。
竹内 あはははは(笑)。変な大学。
江川 ただ、その新歓時期に落研の公演があってそこで「素人でこんなに落語ができるようになるんだ!」っていうのもきっかけでした。
竹内 たまたま見たやつの出来が良かったんだね。
田中 テニスのリフティングで入らなくて良かったよ(笑)。
竹内 そんなんで入るわけないわ(笑)!
田中 演劇も高校生の時から観に行ったりしてたの?
江川 演劇は好きなものしか観ないです。数観る方ではないです。当たりはずれもあるので(笑)。
竹内 そうなんだ(笑)じゃあ、演劇学科の同期から誘われたりして大変だったんじゃない?
江川 落研を言い訳にしてました(笑)。
竹内 確かに落研で落語を結構しているイメージがあったけど。
江川 やるしかなかったですね(笑)。
竹内 部長だったしね。
江川 同期が一人しかいなったですし、その同期が表に出たくないタイプだったんですけど、事務処理能力が高かったので、表に出るのは僕がやって、事務的な対応はお願いしてって分業をしてました。
田中 良いコンビだったんだね。
竹内 二人※とも心染プロジェクトに入ってくれていたよね。江川君は結構、出張落語会とか食育・出前授業とか参加してなかった?
※毬三亭 留舞丹(まりみてい るぶたん)
江川 できる限り参加しました。
竹内 児童館でのバイトとか心染プロジェクトの活動で、子どもたちと触れ合う機会が多かったんじゃない?
江川 そうですね。そういう意味では心染プロジェクトでの体験とか経験は今の職に活きているかもしれないです。食育・出前授業での経験は特に。
竹内 子どもたちに落語を教える時間もあるもんね。あれは難しいよね。
江川 はい。職場で食育・出前授業の話しをしたら、施設で落語会教室をやってくれって言われて。
竹内 おお!いいじゃない!
江川 ただ、落語の台本を渡して覚えてもらうのも難しいかなって。
竹内 小噺くらいでいいような気もするけどなあ。
江川 高学年の子どもたちなんかは「あかね噺」っていう漫画を読んでいるので、『寿限無』とかできるんですよ。でも、そうなるとその子の独演会になってしまうので、着物の着付けを教えてみたり、色々工夫しています。あ、あと大学を卒業する直前にバイトしていた児童館で落語会をやりました。
竹内 すごいじゃん!
江川 落語会やって、そのあとシフトだったので、仕事に戻りました。子どもたちと卓球したりして(笑)。ただ、子どもたちも「場和成先生」って呼んでくれたりして嬉しかったです。
竹内 良いね(笑)。児童館での仕事って具体的にどういうことをするの?
江川 学校が終わって、親御さんが家に帰ってくるまでの“家”の役割になるので、保護者の代わりを務める感じです。
竹内 へえ。それって夏休みとか冬休みとかになると一日中一緒にいたりすることもあるの?
江川 そうですね。長期休みになると8時から17時まで開けてるので。
田中 児童館って聞き馴染みはあるけど、改めて考えると結構特殊な職業だよね。
江川 そうかもしれないです。施設によってはあだ名で呼ぶことが禁止だったり、子どもたちには“○○先生”って呼ばせないといけなかったり、抱っことかおんぶとかの接触も基本禁止ですし。
田中 ああ、なるほどね。意識しないと自然とやってしまいそうなことだから難しいね。
江川 保育の場なので勉強を教えたりすることが管轄外になるので、注意しないといけないです。基本は“見守る”のが仕事です。
田中 へえ。江川君の児童館には何人くらい子どもたちがいるの?
江川 50人くらいです。
田中 結構多いね!同時に子ども50人と触れあうことってないから大変だね。
竹内 児童館職員の傍ら、演劇の活動もやっているよね?演劇祭に出てなかったっけ?
江川 そうです。就職する前に演劇祭に出ました。今は次の活動に向けてお金を貯めつつ、脚本を書いています。コロナが収まって演劇祭がもう少し開催されるようになるとありがたいです。場所代とかの負担も軽くなりますし。
田中 場所代とか衣装代とかもかかってくるもんね。稽古の場所とかも。
江川 そうなんです。演劇祭とかだと主催者が負担してくれる場合が多いので。
竹内 せっかく大学で演劇を勉強したならね。なんて団体だっけ?
江川 「年下の義母」です。コロナで思うように活動できていないですけど。
竹内 脚本の賞とかもあるよね?
江川 あ、そうですね。今はそういう賞に応募しています。落ちてばかりですが。
田中 まあまあ、受かったらすごいことだもんね。
江川 宝くじみたいなものだと思ってます(笑)。
竹内 良いじゃん。仕事と両立ができているみたいでいいね。
江川 脚本はやる気がみなぎっていないと書けないんですが(笑)。
竹内 でも、日々の生活からインプットしていけばアイデアが生まれたりするんじゃない?何を以て脚本かは全然わからないけど。
田中 おい、下手なこと言うなよ!脚本書いたことないだろ!演劇の脚本って大変なんだから。漫才の台本とはワケが違うんだから。
竹内 心染プロジェクトの話しに戻るんだけど、他の落研の人との繋がりは増えたりした?
江川 高座名が場和成(ばなな)だったので、名前を覚えてもらって、色んな人に落語会に呼んでもらえました。
竹内 後輩が活躍してくれていて嬉しいなあ。
田中 日芸落研ってあんまり表に出てこないもんね(笑)。
竹内 そうそう(笑)。
江川 参加している時は意識していなかったですけど、心染プロジェクトからキンレイさんの商品の美味しさとかすごさがわかるようになりました。
竹内 ああ、確かに自分でお金を稼ぐようになると食べ物のありがたみが増すかもしれないね!どの商品が好きなの?
江川 「鍋シリーズ」の商品が好きでした。
田中 あ、野菜がたくさん入ってる商品ね。「お水がいらない」の次はお鍋がいらなくなってどうなっちゃうのかと思ったよ。
江川 あとは「お水がいらない ラーメン横綱」が好きです。大学の時にお金がない時に1食買って、残ったスープにごはん入れて食べてました(笑)。
田中 ごはんは入れちゃうね。
江川 これからの新商品も追っかけます!楽しみにしています!
【江川 航平さん プロフィール】
2021年 日本大学芸術学部演劇学科卒業後、
児童館にて活躍する傍ら演劇の脚本を。
執筆するなど活躍中。
【インタビュアー:まんじゅう大帝国 略歴】
株式会社タイタン所属の漫才コンビ。2016年6月コンビ結成。2017年4月デビュー。大学時代は互いに落語研究会に所属し、学生落語の全国大会で優秀な成績を残す。2017年4月に株式会社タイタンに所属しデビュー。フジテレビ系『ENGEIグランドスラムLIVE』『ネタパレ』などに出演し注目を集める。
【その他、受賞歴等】
- 国立演芸場 令和元年度「花形演芸大賞」 銀賞受賞
- フジテレビ「ENGEIグランドスラム」「ネタパレ」
- WEB CM パイロットコーポレーション フリクション「ネタ帳」
- MV ゼスプリゴールドキウイ「アゲリシャス」
- TBSラジオ「マイナビラフターナイト」月間チャンピオン(2017年6月/2018年11月)
- 第3回未完成映画予告編大賞「MI-CAN男優賞」(竹内一希)
- 2020年1月29日より、初のDVD「詰め合わせ」発売。
- 2020年10月7日より、第一回単独公演DVD 「私の番です。たしかにね。」発売。
- 竹内一希さん主演映画『実りゆく』が2020年10月9日(金)に新宿武蔵野館ほか全国の上映館で公開。「第63回ブルーリボン賞」作品賞にノミネート。2021年4月28日よりDVDが発売。
- 初の単行本『笑いの学校』が2020年12月19日(土)に河出書房新社より発売。
- 2021年10月9日放送の『オールナイトニッポン0(ZERO) ~決戦!お笑い有楽城~』にて優勝。
- 『まんじゅう大帝国のオールナイトニッポンPODCAST』が配信中。
- ・まんじゅう大帝国・竹内出演の動画「落ち込みすぎな失恋ソング 『失恋すると人は何も手につかない』」が 第9回BOVAグランプリ受賞
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