INTERVIEWインタビュー&部室訪問

おちけん部室訪問

第八回「まんじゅう大帝国のおちけん部室訪問!」慶應義塾大学編

 2014年に発足し、「和食“鍋焼うどん”」×「伝統芸能“落語”」の魅力を多くの方々に伝達していくことを目指した文化啓発活動である『キンレイ心染プロジェクト』のインタビュー企画です。心染プロジェクトでは、落語を学ぶ大学生(落語研究会)のイベントや公演のサポートを行っています。コロナ禍で活動が制限されているなか、試行錯誤を繰り返しながら落語に取り組む大学生を応援します。

 インタビュアーは心染プロジェクト卒業後、プロの漫才コンビとして芸能事務所(株式会社タイタン)に所属し活躍している「まんじゅう大帝国」の田中さん・竹内さんです。

上段左から:中島幸乃さん、足立紗彩さん、菅野竣介さん 下段左から:田中永真さん、中村凜太郎、竹内一希さん
上段左から:中島幸乃さん、足立紗彩さん、菅野竣介さん
下段左から:田中永真さん、中村凜太郎、竹内一希さん

竹内:第八回「まんじゅう大帝国のおちけん部室訪問!」は慶應義塾大学 公認学生団体 落語研究会のみなさんに出演いただいております!よろしくお願いします。
※以後、慶應落研

慶應落研 よろしくお願いします!

竹内 まずは自己紹介からお願いします。

足立 はい!4年生の足立紗彩(あだち さや)です。高座名は燃やし亭 明太子(もやしてい めんたいこ)と申します。落研では副部長を務めています。今は半年間休学をしていますが、学部は法学部政治学科に通わせていただいています。

足立紗彩さん
足立紗彩さん

竹内 あら、休学しているの?

足立 やりたいインターンがありまして、今はインターン先でお仕事をさせてもらっています。

竹内 なるほどね!次は3年生かな?

菅野 はい。高座名を恋生(れんしょう)と申しまして、本名を菅野竣介(かんの しゅんすけ)といいます。学部は文学部国文学専攻です。学年は3年生なんですけども、コロナの影響で2年生の時に落研に入部したので、落研歴としては2年目なります。

菅野竣介さん
菅野竣介さん

竹内 よろしくお願いします。続いてお願いします。

中島 2年生の中島幸乃(なかしま ゆきの)です。高座名は好きなをことし亭 生きていく(すきなことをしてい いきていく)になります。環境情報学部(SFC)という学部でプログラミング・経営学などを勉強しつつ、趣味で作曲とかもやったりしています。

中島幸乃さん
中島幸乃さん

田中 作曲!?

中島 ミュージカルの子役をやっていたのと、母が音楽家ということもあり、趣味で作曲をしています!

田中 へえ!よろしくお願いします。最後は1年生かな?

中村 1年生の中村凜太郎(なかむら りんたろう)です。油風呂亭 男塾(あぶらぶろてい  おとこじゅく)という高座名をいただきました。法学部法律学科に所属しています。落研内では“前座”期間中です。

中村凜太郎さん
中村凜太郎さん

田中 男塾と法学部って一番対極にあるような名前だね(笑)。

中村 そのギャップも含めて気に入っています!

竹内 キャッチ―な高座名だね。自己紹介いただいたところで、慶應落研の活動について教えてほしいんだけども、副部長の足立さんが一番詳しいのかな?

足立 はい!ルーティンの活動ですと週1回の練習会を行っています。今は人数が多くなったので、2日間に分けて行っています。

竹内 部員はどれくらいいるの?

足立 29人です。私の同期は少ないのですが。今の1、2年生がそれぞれで10人以上入ってくれました!密集環境を回避するために週2日間に分けて練習しています。定期的な公演として、6月に1年生のお披露目会「若手会」をやります。1年生が初めて覚えた落語を披露する会です。7月に「七夕祭」という湘南・藤沢キャンパスでの学園祭で公演をして、そこから夏休みに入って、合宿や全国の福祉施設からいただいたご依頼公演を中心に活動しています。

田中 前半だけでも結構ボリュームがあるね!

足立 そうですね。ただ慶應落研は秋が一番忙しくなります。10月の理工学部の矢上キャンパスでの「矢上祭」、11月の三田キャンパスでの「三田祭」でそれぞれ部をあげた公演があります。

竹内一希さん
竹内一希さん

竹内 忙しいね!

足立 なので毎年、夏休み明けからバタバタします。「三田祭」は昼と夜の二部制になるんですが、それぞれのトリを2年生が務めまして、その練習のために秋から練習日を倍にして備えます。

竹内 追い込んでやるんだね!

足立 今年は恋生君と生きていくちゃんがトリ候補になります。練習会でトリにふさわしい人を選ぶんです。

田中 理科大落研にもそういうのがあったから懐かしいなぁ。披露する場が多くて良いね。

足立 外部からのご依頼もいただけているので、人前で落語をやりたい部員にとっては恵まれていると思います。

竹内 さっき男塾君が言っていた、“前座”期間っていうのはいつまでなの?

中村 えっと…、ちゃんと把握していなくて、いつまででしょうか?

足立 あれ!?言ってなかったっけ?11月の「三田祭」までです!前座期間を終えると歴代の先輩方の高座名を引き継ぎます。

中村 あ、了解です。でも今の高座名、気に入っています!

中村凜太郎さん
中村凜太郎さん

竹内 11月までの前座期間っていうのは何をするの?

足立 練習会で先輩たちに落語を見せて、上達してもらう期間になります。

竹内 そうかそうか。まさしく修行期間だね。代々ある高座名を引き継ぐってことだけど、部員全員分のストックはあるの?

足立 現状は余っているので問題ないんですけど、足りなくなったら“初代”が生まれます!

田中 そりゃそうか(笑)。高座名を引き継いだあとはOB・OGさんたちに報告したりするの?

足立 します。卒業生名簿があるので、「引き継ぎました!」って手紙を送ります。恋生君は15代目なので、14人の元“恋生”に送っています。

田中 へえ、大変だね。今後みんなが卒業してからそういう連絡が来るってことだよね?

足立 そうですね。忘れた頃に来ると思います。

竹内 そうすると、OB・OGさんと交流する場も多いの?

足立 定期的にあります。「落楽会」というOB会がありまして、2年に一回現役生との親睦会が開かれます。コロナの影響で中止・延期が続いていますが。「三田祭」の時はOB・OGの方がたくさん来てくださいます。

田中 「高座名を継ぎました!」って連絡が来たら、「顔出してやらないとな」ってなるだろうしね。

足立 それこそ恋生君はOBさん方から色々教わっているよね?

菅野 そうですね。僕は落語がすごく好きで。

菅野竣介さん
菅野竣介さん

田中 落語好きな人の画面背景だもんね!

菅野 はい。学部でも落語の研究をしているんですけど。

田中 おお!

菅野 それで、OBの方々から落語の資料をいただけたりして。落語好きな方々が多いので、とてもありがたいです。

竹内 研究っていうのは具体的にどんなことをしているの?

菅野 江戸時代から明治時代にかけての落語の様相に焦点を当てて、落語がどのように発展したのか?とか落語の演目がどのように生まれて発展していったのか?などの研究をしています。

田中 そういう記録とか文献って残っているの?

菅野 あまり残っていません。ただ、現代まで残っている落語の演目が江戸時代の随筆集に載っていたり、演目の原型だと思われるものが小噺集に載っていたりするので、ある程度まで推論が立てられます。なので、文献や資料を漁る日々を送っています。

竹内 なるほど!大変な作業だね。すごいなぁ。落語が好きで慶應大学に入って、学部で研究して、落研にも入って、落語にどっぷり浸かれて最高だね!

菅野 そうですね。本当にありがたいですし、楽しいです。

田中 菅野君の方が“好きなことをし亭 生きていく”なんじゃない(笑)?

菅野 そうですね。同じことを生きていくさんからも言われます。

竹内 この二人が同期っていうのも面白い組み合わせだね。でも、生きていくちゃんも負けじと色んなことをしているんでしょ?

中島 はい!私の場合は落研だけじゃなくて、色んなことをやって、自分の幸福を第一に優先して生きたいと思っているので、そういう意味での“好きなことをし亭 生きていく”です!

竹内 なるほどね。中島さんは休学して起業しているって、事前に聞いているんだけど。

中島 そうなんです。親に大反対されながらも起業する道を選びました。起業して見聞を深めてから復学して、学部で研究したいと考えています。

竹内 すごいなぁ。そんなこと考えたこともなかった。環境情報学部(SFC)は起業する人が多いの?

中島 多いです。高校生の時から企業をして、事業を持っている人が多くて、そんな環境にいる時に自分の社会課題への目覚めへの遅さに劣等感を感じるようになって、起業しようと思いました。これからは落語をやっていることも強みの一つにしたいと思っています。

竹内 すごいな!確かに落語ができる起業家はいないだろうしね。

中島 落語という伝統文化を逆手にとって、見た目も金髪にして、舌にピアスを開けて、アングラな見た目にしたり。自分の中のギャップを楽しんでいます。

竹内 なるほどねぇ、菅野君も試しに、舌にピアス開けてみたら?

竹内一希さん
竹内一希さん

田中 見てらんねえよ!そんなの!

菅野 鼻とかに開けましょうかね(笑)。

竹内 すごいギャップになるね(笑)。

中島 何回も「一回、髪をピンクにしよう!!」って言っているんですけど(笑)。

田中 ピンクの髪で落語の文献を読んでほしいね(笑)!中々、出会わないであろう者同士で交流できるのもサークルの良いところだよね。

竹内 そういう出会いの方が卒業してからも仲良かったりするもんね。

中島 それぞれ色んな考えとか趣味を持っている人がいますが、慶應落研はすごく居心地がいいです。キャンパス内で落研部員と会うと安心しますし!このコミュニティが好きで居続けている人も多いです。一年生の時は先輩方に落語の稽古を付けていただく機会が多かったので、緊張していましたけど。

竹内 そうすると、男塾君はまだ緊張が残っている時期だね。

中村 そうですね。毎週緊張しています。

竹内 男塾君はどうして落研に入ったの?

中村 大学で全くやったことのないことをしたくて。

田中 へえ!じゃあ、落語もあまり聴いたことなかった?

中村 はい。ただお笑いは好きなので、人を笑わせることに興味がありました。

田中 でも、慶應ってお笑いサークルもあるよね?

中村 お笑いサークルはちょっと敷居が高くて。

中島 落研ってそんなに敷居低くないけど?

中村 ああ、いや、すみません!そういう意味ではなく!

田中 なんかしくじってるぞ!大丈夫か(笑)!?

足立 落研の方がこじんまりとしているってことよね?

中村 そうです!それこそ居心地が良さそうだったので。

竹内 一年生が最初に覚える落語って決まっているの?

足立 文学部以外の1、2年生は日吉にあるキャンパスに通うのがほとんどなんですけど、その日吉キャンパスの部員をまとめる2年生の代表が、その年の1年生が覚える最初の演目を決めます。

竹内 男塾君はどの演目だったの?

中村 『牛ほめ』でした。

竹内 そういう前座噺から覚えるんだね。

中村 主人公の与太郎に感情移入できて、演じやすかったです。落語をやることの楽しさもわかってきました。

竹内 好きなキャラクターを見つけられると一気に落語を好きになるよね。やっていても楽しいよね。

田中 与太郎を好きになれたら、できる落語は山のようにあるから良いね。

竹内 2年生の恋生君と生きていくちゃんは11月の「三田祭」に向けて大ネタを準備中だと思うけど、それぞれ何をやるの?

菅野 僕は『甲府い』をやります。

田中 マジで!?超大作じゃん!

田中永真さん
田中永真さん

菅野 人情噺をやってみたく。

田中 あれは良い噺だよね。聴くと、いつも泣いちゃうもん。学生でやってるのは観たことないなぁ!

菅野 小学生の時から好きな演目だったので、挑戦してみようと!

竹内 せっかくだしね!頑張って!生きていくちゃんは?

中島 私は『文違い』をやります。どんどん笑いを取れるように仕上げていきます!

中島幸乃さん
中島幸乃さん

田中 11月の会だから、あと2か月か。二人とも頑張ってね。そういえば、コロナ禍でどの落研も大変そうだったけど、慶應落研も大変だった?

足立 新歓が初めてのことだらけで特に大変でした。どうにか今の2年生と1年生はたくさん入ってくれましたが。ただ、オンライン上での新歓活動のおかげか、入部してくれた人たちの所属学部の裾野が広がりました。

竹内 キャンパスが多い分、オンラインによって勧誘できる範囲が広がったんだ。慶應落研部員で心染プロジェクトに参加している人っている?

足立 私と生きていくちゃんと、今日はいないんですけど、今の部長が参加しています。

中島 他の落研と交流してみたい!と思って、心染プロジェクトに参加しました!心染プロジェクトのおかげでキンレイさんの商品にも出会えました!

竹内 心染プロジェクトの卒業生としては嬉しい言葉だね。慶應落研さんの今後の公演の告知があれば、お願いします!

足立 慶應落研の公式HPがリニューアルしましたので、そちらから各公演情報をご確認いただきたいです。

菅野 僕が落語の演目や落語の魅力についてコソッと綴っている「恋生の落語原典講読」と題したブログ記事もありますので、ぜひ!

菅野竣介さん
菅野竣介さん

中島 え!?そんなのあるの?もっとみんなに共有してよ!ちゃんとマーケティングして!

足立 更新状況をTwitterと連動させることもできるよ!

田中 なんか怒られてるぞ(笑)!まあ、せっかくなら広めた方が良いからね。

足立 これからも慶應落研をよろしくお願いします!

足立紗彩さん
足立紗彩さん

【慶應義塾大学公認学生団体 落語研究会 プロフィール】

・プロフィール:落語研究会(通称:落研)は、慶應義塾大学の文化団体連盟に所属する公認学生団体です。普段の活動は週一回の練習会と、地域での落語の口演。春/秋季休業期間には、全国各地の福祉施設よりご依頼をいただき落語を披露させていただいています(コロナ禍により現在活動自粛中)。

活動は落語がメインですが、漫才やコント、大喜利等多方面の「芸」に取り組んでいます。ボケとツッコミが入り乱れる環境の中、部員達は日々笑いを追及しています。各公演情報は公式HPまたは公式Twitterをご覧ください!

公式HP

恋生の落語原典講読 その1『十徳』~ルーツを探る愉しみ

公式Twitter

公式YouTubeチャンネル

【インタビュアー:まんじゅう大帝国 略歴】

株式会社タイタン所属の漫才コンビ。2016年6月コンビ結成。2017年4月デビュー。大学時代は互いに落語研究会に所属し、学生落語の全国大会で優秀な成績を残す。2017年4月に株式会社タイタンに所属しデビュー。フジテレビ系『ENGEIグランドスラムLIVE』『ネタパレ』などに出演し注目を集める。

【その他、受賞歴等】

  • 国立演芸場 令和元年度「花形演芸大賞」 銀賞受賞
  • フジテレビ「ENGEIグランドスラム」「ネタパレ」
  • WEB CM パイロットコーポレーション フリクション「ネタ帳」
  • MV ゼスプリゴールドキウイ「アゲリシャス」
  • TBSラジオ「マイナビラフターナイト」月間チャンピオン(2017年6月/2018年11月)
  • 第3回未完成映画予告編大賞「MI-CAN男優賞」(竹内一希)
  • 2020年1月29日より、初のDVD「詰め合わせ」発売。
  • 2020年10月7日より、第一回単独公演DVD 「私の番です。たしかにね。」発売。
  • 竹内一希さん主演映画『実りゆく』が2020年10月9日(金)に新宿武蔵野館ほか全国の上映館で公開。「第63回ブルーリボン賞」作品賞にノミネート。2021年4月28日よりDVDが発売。
  • 初の単行本『笑いの学校』が2020年12月19日(土)に河出書房新社より発売。
  • 2021年10月9日放送の『オールナイトニッポン0(ZERO) ~決戦!お笑い有楽城~』にて優勝。
  • 『まんじゅう大帝国のオールナイトニッポンPODCAST』が配信中。

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