INTERVIEWインタビュー&部室訪問

おちけん部室訪問

第十三回「まんじゅう大帝国のおちけん部室訪問!」二松学舎大学編

上段左から: 吉田もえさん、井手篤大さん、弓削栞さん
下段左から:竹内一希さん、田中永真さん
上段左から: 吉田もえさん、井手篤大さん、弓削栞さん
下段左から:竹内一希さん、田中永真さん

2014年に発足し、「和食“鍋焼うどん”」×「伝統芸能“落語”」の魅力を多くの方々に伝達していくことを目指した文化啓発活動である『キンレイ心染プロジェクト』のインタビュー企画です。心染プロジェクトでは、落語を学ぶ大学生(落語研究会)のイベントや口演のサポートを行っています。コロナ禍で活動が制限されているなか、試行錯誤を繰り返しながら落語に取り組む大学生を応援します。インタビュアーは心染プロジェクト卒業後、プロの漫才コンビとして芸能事務所(株式会社タイタン)に所属し活躍している「まんじゅう大帝国」の田中さん・竹内さんです。

竹内:第十三回「まんじゅう大帝国のおちけん部室訪問!」は二松学舎大学落語研究会のみなさんに出演いただいています!よろしくお願いします。
※以後、二松落研                                                               

二松落研 よろしくお願いします!

竹内 まずは先輩から自己紹介をお願いします。本名と高座名と学部・学科を教えてください。

弓削 はい。4年生の弓削栞(ゆげ しおり)です。高座名は二松亭 爆竹(にしょうてい ばくちく)といいます。文学部国文学科日本語学専攻なんですけどゼミで江戸文化について研究しています。

弓削栞さん

竹内 高座目はあの爆竹なの?

弓削 そうです!

竹内 なんで!?

弓削 元々先輩から「劉伶亭(りゅうれいてい) さんせう」という名前を頂いたんですけど、3年生になると改名できるので、二松亭爆竹に改名しました。二松落研は高座名に植物とか動物の言葉を入れる伝統があるんですけど、友達とタケノコ狩りに行った時に「タケノコ狩りか。竹か。そうだ!爆竹にしよう!」と(笑)。

竹内 なるほど!思い切ったね!大学では江戸文化を研究しているってことだったけど、落語には元々興味があったの?

弓削 落語は大学に入ってから好きになりました。

田中 シンプルに江戸時代に興味があったってこと?

弓削 ウチの落研の顧問の先生が伝統芸能の専門家で、落研に入って先生の授業を受けたら面白かったので、そのままゼミに入りました。

田中 へえ。今日はよろしくお願いします。続いては3年生かな?

井手 初めまして。3年生の井手 篤大(いで あつひろ)と申します。高座名は緑天家 鹿子望子(えんてんか ろこもこ)です。学科は文学部中国文学科書道専攻になります。ゼミでは書道について勉強しています。

井手篤大さん

竹内 すごい二松学舎っぽいことを勉強しているんだね。書道ってことは寄席文字を書いたりもするの?

井手 いえ、寄席文字はあまり書かないです。

田中 フォームが崩れちゃうもんね。高座名の鹿子望子?これはどういう経緯で?

井手 自分の誕生日が夏なので、夏らしい名前を先輩にお願いしたら、こういう高座名を付けていただきました。

田中 可愛らしい名前でいいね。書道について学んでいるってことなんだけど、実際に書いているの?

井手 そうですね。2 年生までは草書、楷書、行書、かな書に関して基礎的な授業を受けて、3 年生からゼミで本格的に作品を制作します。私は書くのは初心者なんですけど、とても親切にご指導いただけるため、安心して学ぶことができています。あとは教員になることが目的で二松学舎に入ったので、教職課程の授業も並行して受けています。

竹内 教員か。書道専攻の人は他にどういう職を目指しているの?教員になる人が多いような気がするけど。

井手 確かに教員希望は多いですね。あとはお寺とか神社の御朱印を書く職とか、書道家になる人とかですかね。私は小中高の教員免許の取得を目指しています。教職の授業も、丁寧にご指導いただけるため、とても感謝しています。

田中 すでに言葉が丁寧だから、良い先生になりそうだね。じゃあ、最後にお願いします。

吉田 はい。2年生の明苺屋(あまいや)おとメといいます。本名は吉田もえです。文学部国文学科に所属していて、今年から映像・演劇・メディア専攻で学んでいます。

吉田もえさん

竹内 そういう分野も学べるんだ!映像・演劇・メディアって結構広いと思うけど、専攻はこれから絞っていくの?

吉田 そうです。歌舞伎とかを学ぶ授業もあれば、脚本についての実習もあったりします。

竹内 そういう専門的なことも学べるんだね。可愛らしい高座名だけど、イチゴが好きなの?

吉田 いや、可愛いくしてほしかったので、イチゴをモチーフにしてもらいました。味的にはバナナとかミカンの方が好きなんですけど(笑)。可愛らしいイメージはやっぱりイチゴなので(笑)。

田中 狙い通りの高座名なんだね。“メ”だけカタカナなんだね。

吉田 最初は漢字で“乙女”だったんですけど、二松落研の1~2年生の女子部員は高座名にひらがなを使わないといけないみたいなので、この表記になりました。3年生になると爆竹先輩のように好きな表記にできます。

竹内 なるほどね(笑)。高座名の仕組みがあるんだね。3年生になると“二松亭”になるの?

弓削 希望者はなれます。いきなり二松亭の高座名にはならないです。

田中 へえ。爆竹が強すぎて他の話しが入ってこないな(笑)。今日は部長さんはいるの?

井手 今日はいないです。

田中 そっか。爆竹先輩は4年生ってことだけど、実質引退みたいな感じ?

弓削 そうですね。それこそ私の同期は就活に忙しいですし。私は就活を放棄しているので暇なんですけど(笑)。

弓削栞さん

竹内 就活を放棄しちゃったの!?

弓削 落研の方が楽しくて…。

田中 そりゃそうだけど(笑)。僕らも人のこと言えないから「ちゃんとしなさい!」とも言えないけど(笑)。 

竹内 井手君の学年がメインで活躍しているのかな?

井手 はい。僕らの学年が中心になって運営しています。新入生も入ったので、色々教えたり。

竹内 新体制になって一番忙しい時期だね!二松落研は学外からの入部は受け付けているの?

井手 いえ、インカレサークルではないので、部員は二松学舎の学生だけです。

竹内 そっかそっか。最近落研もインカレが増えてきてるって噂を聞いたから、気になって。二松落研は週にどれくらい活動しているの?

井手 毎日です。

竹内 ええ!?毎日?

井手 日によって参加できる人が限られているので、それぞれ参加できる人同士が集まって稽古しています。

竹内 おお、稽古は具体的にどんなことをしているの?

井手 発声練習やったり、落語をやって稽古をつけてもらったり。今は新入生に二松落研伝統の小噺を覚えてもらっています。その小噺をマスターしたら高座名をもらえるって流れです。

竹内 発生練習ってどんなことをしているの?

弓削 早口言葉とか、いっぱい“あああ~!!”って言ったり(笑)。それ以外に説明のしようがないです!

吉田 そうですね(笑)。“あああ~!!”って言ってます(笑)。

竹内 生麦生米生卵!あああ~!!ってやってんだ(笑)。

竹内一希さん
竹内一希さん

吉田 はい(笑)。

竹内 稽古の雰囲気としてはピシッ!とやってるの?それとも和やかにやってるの?

吉田 見てくれる先輩にもよります(笑)。

竹内 そうかそうか。でも毎日どこかしらで稽古をしているのは良いね。発表の場はどれくらいあるの?

弓削 6月に学内向け学祭での公演、9月末に不定期ですが1年生がメインで出演する会があって、11月の学外向けの学祭で2日間、3月に代替わり公演と卒業公演があるので、年に6回くらいです。あとは各々外に出て落語をしています。

竹内 結構あるね。この中で一番規模が大きいのは学祭?

弓削 そうです。学祭ではウチの顧問の先生も落語をやるんですよ。

まんじゅう大帝国 えええ!?すごいね。

田中永真さん
田中永真さん

弓削 中川桂先生という、古典芸能について研究をされている教授なんですけど。研究の傍らアマチュア落語家としても活動をされていて、二松落研の顧問として学祭とかで高座に上がってくださっています。

田中 本名が桂っていうのもまたすごいね。そんな先生が出演してくれると盛り上がるだろうね。顧問の先生が落語をやるっていうのは初めて聞いたかも。

井手 僕らの本番前に稽古をつけてくださいます。

吉田 “中川チェック”って呼んでいます(笑)。

吉田もえさん

田中 あははは(笑)。いじってるじゃん!

井手 正式名称なので大丈夫です(笑)!

竹内 江戸文化を研究されているってことは、言葉遣いとかもちゃんと教えてくれそうで良いね。時代背景とかも含めて。

弓削 先輩だけでは教えきれないところを先生から教わることができるので、有難いです。

竹内 プロの落語家さんとの繋がりはある?OBさんとか。

弓削 コロナの影響で途絶えてしまったんですけど、最近落語会のお手伝いの機会を頂けています。井手君がこの前行ってなかった?

井手 はい。貴重な経験でした。弟子入り気分を味わえたというか。

竹内 学生時代にそういう経験があると良いよ。結構充実した活動をしているんだね。

井手 そうですね。二松落研に入ると人との関わり合いが増えて充実します。落語って人と人とを繋ぐ芸なんだと。二松落研で落語をやって本当に良かったなと思いますね。

田中 すげー良いコメントだな(笑)!もう終わっても良いよ!

田中永真さん
田中永真さん

竹内 そうだね(笑)。みんなはどうして落研に入ったの?

弓削 私は元々演劇サークルに入りたかったんですけど、コロナで活動を休止していて、元々お笑いが好きっていうのもあって、落研に入りました。それこそ高校生の時からまんじゅう大帝国のお二人のファンです!

まんじゅう大帝国 おお!ありがとう!

弓削 新宿の劇場ライブを観に行ったり。一回出待ちしたこともあります(笑)。お二人の影響もあって落研に入ったっていうのもあります。

竹内 なうほどね。井手君は?

井手 色々な理由があるんですけど、伝統文化に興味があって、見学に行ったら物凄く雰囲気が良くて「このサークルなら4年間楽しく活動できる!」と思ったのと、教員を目指しているので、人前で話す力を培いたいと思い。昔から「芸は身を助ける」の例えじゃないですけど、教員になった時に子どもたちに披露できる特技があったら良いなと思って入りました。

井手篤大さん
井手篤大さん

竹内 すごいな!優秀過ぎる!

井手 一度、模擬授業をやった時に担当の先生からお褒めの言葉を頂くことができて、落研での活動が成果として少しずつ表れています。今後も教員採用試験での模擬授業とか採用先の学校では落研で学んだことを活かしていこうと思っています。他にも理由はあるんですけど、大きく日本の伝統に触れるっていうことと、教員を目指しているというのが落研入った理由です。

竹内 井手君はしっかりしているなあ!!吉田さんは?

吉田 私は単純に着物が着たくて。

竹内 おお、そのアプローチもあるよね。着物は何着か持っているの?

吉田 はい。祖母が呉服屋さんに勤めていたこともあって、いくつか集めています。

竹内 へえ。高座毎に着物は変えたり?

吉田 そうですね。季節に合わせたりしています。

竹内 おしゃれだね!落研なんて4年間同じ着物なのが当たり前だと思ってたよ。

弓削 ウチの女子部員は着物好きが多いですね。沼にハマってるというか(笑)。

吉田 お店の情報とか交換したりしてます(笑)。

竹内 話は変わるんだけど、みんなの好きな演目を聞いても良いかな?

田中 めちゃめちゃ変わるじゃん(笑)。それはやる方?聴く方?

竹内 やる方!

弓削 私は初めて聴いた落語が『壺算』で自分でも覚えたので、思い入れがあります。

竹内 初めて『壺算』を聴いて理解できた?

弓削 何回か聴き直して、理解しました。この前新入生の前で『壺算』をやって、ポカーンとされました(笑)。

竹内 買い物のスタイルが現代と全く違うから、初めて聴いた人には難しい落語かもね。でも落語っぽくて良いよね。井手君は?

井手 『平林』が好きです。噺が面白いっていうのもありますけど、初めて覚えて先輩方にたくさん稽古を付けていただいた落語なので、愛着があります。

田中 『平林』は覚えておくと良いよね。吉田さんは?

吉田 私も初めて覚えた『権助魚』です。主人公の権助が好きで。

田中 愛嬌があるキャラクターだよね。吉田さんは2年生になったばかりでこれからだと思うけど、今後覚えたい落語とかある?

吉田 酔っ払いが出てくる落語をやりたくて『蝦蟇(がま)の油』を覚えています。

田中 酔っ払いの部分以外に難しいところがいっぱいあるよ!?

吉田 そうなんですよ!大変な落語に手を出してしまいました(笑)。

吉田もえさん
吉田もえさん

竹内 どうして酔っ払いをやりたくなったの?

吉田 他大の落研との合同寄席で他大の同期が『親子酒』をやっていて、かっこよかったので。

竹内 ああ、なるほど。他の人がやってる落語ってやりたくなるよね。今日のこのインタビュー記事をきっかけに入部希望者が出てくる可能性もあるんだけど、そんな人たちへ一言ずつお願いします。

田中 これは吉田さんからいこう!先輩からだと先に良いこと言われちゃうから(笑)。

吉田 二松学舎落研の一番の特長は先輩がマンツーマンで教えてくれるところです。なので落語を全く知らなくても楽しく活動できる落研です!

竹内 素晴らしい!続いて井手君、お願いします!

井手 落研って落語をやるサークルなので「自分にできるかな?」って不安になると思うかもしれないんですけど、迷ったら一度見学に来てください!二松落研の雰囲気を感じれば自然と入部したくなります!あとは、間違いなく自分を変えることができるサークルなので学部・学科関係なく、興味を持ったら見学に来てほしいです。

井手篤大さん
井手篤大さん

田中 「自分を変えられる!」って大学側が考えたスローガンみたいだね(笑)!じゃあ、最上級生、弓削さんお願いします。

弓削 落語をやることを通じて、自己分析とか自己プロデュースができたり、寄席の運営の仕方を覚えることで全体を見渡す視点を持てたり、熱意とやる気があれば他の落研の人たちと色んな事ができたりもするので、二松落研は人間力を養えるサークルです。あとは落語がきっかけで歌舞伎とか能とか他の古典芸に興味を持つきっかけにもなりますね。とにかく!一度見学に来てほしいです!

田中 なんか、物凄いしっかりした落研だったね。

竹内 顧問の先生も親身になってくれているのも大きいんだろうね。これから新しい体制になっていくだろうから、これからも頑張ってください!我々も応援しています!。

【二松学舎大学落語研究会 プロフィール】

・二松学舎大学落語研究会は現在、4年生6名、3年生5名、2年生5名、1年生8名の24名(2023)の部員が所属しており、年6回ほどの寄席スケジュールに合わせて精力的に活動しています。二松学舎大学は文学!という感じの大学で、教職員にも落研ファンが多いのが特長です。そして最大の魅力は、顧問の先生が古典芸能の専門家なこと!寄席前には出演者に的確なアドバイスをしてくださいます。二松落研に入れば落語が上手になるだけでなく、落語や歌舞伎や能などの伝統芸能に関わる知識もついちゃいますよ!半世紀以上の歴史をもつ二松落研をよろしくお願いします!
お問合せはコチラまで! nisho_ochiken@yahoo.co.jp
※インカレサークルではありません。予めご了承ください。

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【インタビュアー:まんじゅう大帝国 略歴】

株式会社タイタン所属の漫才コンビ。2016年6月コンビ結成。2017年4月デビュー。大学時代は互いに落語研究会に所属し、学生落語の全国大会で優秀な成績を残す。2017年4月に株式会社タイタンに所属しデビュー。フジテレビ系『ENGEIグランドスラムLIVE』『ネタパレ』などに出演し注目を集める。

【その他、受賞歴等】

  • 国立演芸場 令和元年度「花形演芸大賞」 銀賞受賞
  • フジテレビ「ENGEIグランドスラム」「ネタパレ」
  • WEB CM パイロットコーポレーション フリクション「ネタ帳」
  • MV ゼスプリゴールドキウイ「アゲリシャス」
  • TBSラジオ「マイナビラフターナイト」月間チャンピオン(2017年6月/2018年11月)
  • 第3回未完成映画予告編大賞「MI-CAN男優賞」(竹内一希)
  • 2020年1月29日より、初のDVD「詰め合わせ」発売。
  • 2020年10月7日より、第一回単独公演DVD 「私の番です。たしかにね。」発売。
  • 竹内一希さん主演映画『実りゆく』が2020年10月9日(金)に新宿武蔵野館ほか全国の上映館で公開。「第63回ブルーリボン賞」作品賞にノミネート。2021年4月28日よりDVDが発売。
  • 初の単行本『笑いの学校』が2020年12月19日(土)に河出書房新社より発売。
  • 2021年10月9日放送の『オールナイトニッポン0(ZERO) ~決戦!お笑い有楽城~』にて優勝。
  • 『まんじゅう大帝国のオールナイトニッポンPODCAST』が配信中。
  • 2022年9月18日、ネタバトル「第4回ナルゲキ最強決定戦」にて優勝。
  • まんじゅう大帝国・竹内出演の動画「落ち込みすぎな失恋ソング 『失恋すると人は何も手につかない』」が 第9回BOVAグランプリ受賞

【関連リンク】

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