2014年に発足し、「和食“鍋焼うどん”」×「伝統芸能“落語”」の魅力を多くの方々に伝達していくことを目指した文化啓発活動である『キンレイ心染プロジェクト』の卒業生インタビューページです。
第二十七回は明治大学落語研究会より心染プロジェクトに参加した、駿河亭 悪團治(するがてい わるだんじ)さんが登場。インタビュアーはキンレイ心染プロジェクト卒業後、プロの漫才コンビ「まんじゅう大帝国」として芸能事務所(株式会社タイタン)に所属し活躍している田中永真さん・竹内一希さんです。
竹内 今回の卒業生インタビューは明治大学落語研究会OBの駿河亭 悪團治さんです。僕らはとはギリギリ学年も被っていて、悪團治の前の高座名・和泉家(いずみや) らぶ わかこの方に馴染みがあるなぁ。
田中 おお、久しぶりだね。高座名、悪團治に変わってたんだ!
わかこ お二人ともご無沙汰しています。お二人が卒業されてから、高座名を変えました!あ、今日は昔みたいに“わかこ”って呼んでください!
竹内 お、ありがとう。その方が話しやすいので、そうさせてもらいます!僕らと、いくつ離れてるんだっけ?
※以下文中では、わかこ
わかこ 竹内さんとは二学年で、田中さんとは三学年です。
田中 そうだそうだ。当時の後輩で唯一、上方落語をやっていてね。よく僕らがやってた落語会で見台※を持ってきてくれたこともあるよね?
※上方落語で使用する道具の一つ。張扇や拍子木で叩いて、音を出すために用いる。
わかこ ああ!見台要員として呼んでいただいていましたね。
竹内 あの時はありがとうね。それにしても、初めて会って高座名を聞いた時はびっくりしたよ。
わかこ 呼び名は“わかこ”ですけど、めくりには“和泉家 love-wakako@meiji.ac.jp”って書いていましたから物珍しがってもらえました(笑)。
高座名・和泉家 love-wakako@meiji.ac.jp(らぶわかこ)
当時の駿河亭 悪團治さん
竹内 二行になっているめくりって初めて見たもんなぁ(笑)。
田中 あれはインパクトあったね。
わかこ 初見の人はめくり見ても、なんのこっちゃわからないので、“和泉家 らぶわかこ”って書いたものも持っていたんですけど、名前を付けてくれた先輩から「せっかく変な名前にしたのに、ひらがなにしたら意味ないじゃん!」って怒られて(笑)。
竹内 で、そこから駿河亭 悪團治になったんだ。“悪團治”って明大落研では歴史のある名前だよね?何代か続いているような。
わかこ 僕で五代目でした。ただ、私の前の方は今62歳です。
田中 そうなんだ(笑)。
竹内 でも、まあ、それくらい期間が空くもんなんじゃない?当時のOBさん方から喜ばれなかった?
わかこ はい。悪團治は上方落語をやる部員が代々引き継いできた名前なので、先代の方から勧めていただいて、頂戴しました。
田中 あ、そうなんだ。明大落研の高座名の歴史は厚みがあるんだね!
竹内 あと明大落研で有名な高座名に紫紺亭 志い朝があるよね?三宅裕司さんとか立川志の輔師匠、渡辺正行さんと名立たるOBさんが当時使っていた高座名の。
わかこ あります、あります。今は一年生が継いで、二十二代目が誕生しました!
田中 プレッシャーだね!頑張って欲しいね。
竹内 志い朝になるには、大酒飲みじゃないといけないんだっけ?
わかこ そうです!あとは気が利かないとダメです。
田中 そんなん大学生に求めることじゃないよ(笑)。
竹内 わかこは一年生の時から、他の落研とも関わったりしてたじゃない?
わかこ はい。明大落研以外の方に出向いて行っていたのは、他の落研の先輩方に顔と名前を覚えてもらおうと思ってたからです。
竹内 明大落研って他の落研との交流ってなかったの?
わかこ あんまりなかったですね。
竹内 外に出ようって意識が最初からあったんだね。そもそも落研にはどうして入ったの?
わかこ 高校時代から立川志の輔師匠の落語が好きでして、志の輔師匠が入っていた落研に入りたいと思っていて。
竹内 すごいな。狙っていたんだ。
わかこ 正確には志の輔師匠と桂枝雀師匠が好きで、枝雀師匠の母校・神戸大学も狙っていたんですけど、箸にも棒にも引っかからず…。
田中 そうかそうか(笑)。それでも狙ったところに入れたからすごいよ。素敵な大学の決め方だね。
田中 永真さん
竹内 で、大学では落研に入るって決めていたんだね。でも、そうすると志い朝になりたかったね。
わかこ 確かに!志の輔師匠が審査員をされている策伝大賞※で紫紺亭志い朝が優勝したら格好いいですもんね!
※学生落語の全国大会。
田中 ああ!それは良いね!
わかこ でも、志い朝襲名も策伝優勝も叶わなかったです(笑)。
竹内 策伝大賞の存在は落研に入ってから知ったの?
わかこ 高校の時から知っていました。志の輔師匠が審査員をされているなら、出たい!と思っていて。で、いざ一年生の時に出たら、周りに落語が上手い人と飛びぬけて面白い人しかいなくて、びびってしまいましたね。
駿河亭 悪團治さん
竹内 それで他の落研と交流していかなきゃって、思ったの?
わかこ はい。色んな人の落語を吸収して成長しなきゃって、思ってました。
田中 今の話聞いて、合点がいったわ。一年生でこんなに他大の先輩だらけのところに来る人っていないから、胆力があるなあって思ってたけど、志の輔師匠の落研の時の名前を継いで策伝の決勝で見てもらおうって思っている人からすれば、他大の先輩なんか恐くもなんともないよね。
わかこ いやいや!恐かったですよ!
田中 でも、「ここで負けてたら、ダメじゃん!」って先が見えていたからどんどん前に行けたんだろうね。やっぱり僕らも一年生の時の四年生って恐かったもん。今にして思えば落研の人たちってすぐ悪口言うからさ(笑)。落語が上手かったり、面白い先輩から「つまんないと」って思われたくなくて。
竹内 計画性は一切なかったもんね(笑)。それで交流を求めていて、心染プロジェクトにも参加したってことなんだね。
わかこ そうです!
田中 渡りに船だったわけだ。落語をできる場があって、交流もできて。
わかこ ただ、最初に出演させていただいたのが、保育園の卒園式のイベントだったんですけど、子ども達の元気さに圧倒されて太刀打ちできなかったです(笑)。
竹内 でもそこから結構な回数、出演したんじゃない?
わかこ そうですね。「出張落語会」も「出前授業」も満遍なく出させていただきました。
竹内 おお、「出前授業」は小学校?
わかこ 小学校にも中学校も行きました。
2017年11月11日 東京都中野区立中野中学校での
「出前授業」にて『時うどん』を演じる駿河亭 悪團治さん
竹内 子ども達に落語教えるのって難しくなかった?
わかこ はい。でもそこは心染プロジェクトのスタッフの方がフォローしてくださって。
竹内 わかこが入っていた時には「心染寄席」もあったよね?それこそ第一回の時とか。
わかこ ありました。御茶ノ水のワテラスでやった時ですよね?キンレイさんのジャンパー着て、鍋焼うどん作ったりしてワイワイして楽しかったですね。
2018年2月10日開催 第一回キンレイ心染寄席での様子
竹内 そうそう!それから毎年出ていたのかな?
わかこ 全部出ました!
竹内 心染プロジェクトで一番印象に残った出来事ってなに?
わかこ 心染寄席でうどんを作り続けたことですね。後にも先にもああいう体験はないと思います!
田中 今までにない角度だな!(笑)。
竹内 おだしの良い香りに囲まれてね(笑)。あれはあれで良い経験だよね。
わかこ あとは、お客さんを引き込んだ経験が社会に出てから活きています。初対面の人と話すのってて、訪問営業とか電話セールスの根っこ部分なので。今の方が大変ではあるんですけど、気後れせずに人に声をかけるっていうのは心染寄席が原体験ですかね。
駿河亭 悪團治さん
田中 なるほどね。今はどういう仕事をしているの?
わかこ 金融機関で営業をしています。
竹内 シンプルに大変そうなイメージがあるけど、実際の働きぶりはどうなの?
わかこ チーム全体のノルマを各人で振り分けて、それぞれの金融商品をセールスするって感じです。扱う商品が多いので、脳の切り分けが大変です。
竹内 なるほどねえ。就職活動はどんな感じだったの?
わかこ 百貨店とかアパレルを志望していて、いくつか内定をいただいていたんですけど、帰省した時に父から「金融関係も受けてみたら?」って言われて、受けたって感じですね。実家の稼業の関係で百貨店とかを志望していたんですけど、父と色々話して金融も目指しました。
竹内 すごいなあ。大学の時に実家で将来の会議なんてしたことないよ。
竹内 一希さん
田中 まだ将来がないもんな(笑)。行き当たりばったりで(笑)。
竹内 そうそう(笑)。内定もいくつかもらえていたってことは上手くいってたんだね。
田中 でも、金融機関って専門性を求められそうだから大変じゃなかった?
わかこ どちらかというと最初はやる気とか人間性を重視されますね。内定をいただいてから専門的な勉強をして資格を取るって感じです。今でも定期的に資格を取ってキャリアアップしていかないといけないですね。
駿河亭 悪團治さん
竹内 社会出てからでも勉強しないといけないんだね。
わかこ どこの業種もそうだと思います。
竹内 頑張ってるなぁ。社会に出て一番大変だったことってなに?
わかこ 書類の保管・管理には一番神経を使うので、毎日緊張しています。
田中 個人情報の塊だもんね。
田中 永真さん
竹内 責任感のある仕事だね。最近は落語聴いたりしてる?
わかこ 寝る前に古今亭志ん朝師匠を聴いています。声のトーンが心地よくて。
田中 あ、わかる。良いよね。僕もつい聴いちゃう。
竹内 話は変わるんだけど、キンレイさんの商品は食べてる?
わかこ それはもう、この冬は寒かったので助けられました。近所のスーパーでの取り扱いも増えてきていて、「鍋焼うどん」だけじゃなくてラーメン商品も増えてきていますよね。ただ、結局「鍋焼うどん」に戻っていきません?
田中 あ、わかるよ。
わかこ この前、電子レンジでも調理できるトレー付きの商品を買った時は進化を感じました。
竹内 「鍋」シリーズ商品のことかな。季節限定商品なんだよね。
わかこ そうなんですね。あ、そうだ「お水がいらない鍋 寄せ鍋」です。具材がたくさん入っていて嬉しかったです。「お水がいらない 横浜家系ラーメン」も学生時代に食べた味を思い出します。
竹内 キンレイさんも喜んでくださるよ。今日はありがとうね。元気そうで良かったよ。
わかこ いえいえ、こちらこそありがとうございました。お二人のご活躍もテレビで拝見しています!
田中 ありがとう!僕らも「録画しきれないです!」ってところまでいかないと!
竹内 「もういいよ!」ってくらい出演ないと話しにならないからな(笑)。
わかこ ずっと楽しみにしています。今日はリモートですけど、落ち着いたらお会いしたいです!
田中・竹内 そうだね!会える時が来たら会おう!
【駿河亭 悪團治さん プロフィール】
2019年に明治大学文学部文学科を卒業。
現在は金融機関にて活躍中。
【インタビュアー:まんじゅう大帝国 略歴】
株式会社タイタン所属の漫才コンビ。2016年6月コンビ結成。2017年4月デビュー。大学時代は互いに落語研究会に所属し、学生落語の全国大会で優秀な成績を残す。2017年4月に株式会社タイタンに所属しデビュー。フジテレビ系『ENGEIグランドスラムLIVE』『ネタパレ』などに出演し注目を集める。
【その他、受賞歴等】
- 国立演芸場 令和元年度「花形演芸大賞」 銀賞受賞
- フジテレビ「ENGEIグランドスラム」「ネタパレ」
- WEB CM パイロットコーポレーション フリクション「ネタ帳」
- MV ゼスプリゴールドキウイ「アゲリシャス」
- TBSラジオ「マイナビラフターナイト」月間チャンピオン(2017年6月/2018年11月)
- 第3回未完成映画予告編大賞「MI-CAN男優賞」(竹内一希)
- 2020年1月29日より、初のDVD「詰め合わせ」発売。
- 2020年10月7日より、第一回単独公演DVD 「私の番です。たしかにね。」発売。
- 竹内一希さん主演映画『実りゆく』が2020年10月9日(金)に新宿武蔵野館ほか全国の上映館で公開。「第63回ブルーリボン賞」作品賞にノミネート。2021年4月28日よりDVDが発売。
- 初の単行本『笑いの学校』が2020年12月19日(土)に河出書房新社より発売。
- 2021年10月9日放送の『オールナイトニッポン0(ZERO) ~決戦!お笑い有楽城~』にて優勝。
- 『まんじゅう大帝国のオールナイトニッポンPODCAST』が配信中。
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