INTERVIEWインタビュー＆部室訪問

2014年に発足し、「和食“鍋焼うどん”」×「伝統芸能“落語”」の魅力を多くの方々に伝達していくことを目指した文化啓発活動である『キンレイ心染プロジェクト』の卒業生インタビューページです。

第三十回は駒澤大学落語くらぶより心染プロジェクトに参加した、古今亭 雛菊（ここんてい ひなぎく）さんが登場。インタビュアーはキンレイ心染プロジェクト卒業後、プロの漫才コンビ「まんじゅう大帝国」として芸能事務所（株式会社タイタン）に所属し活躍している田中永真さん・竹内一希さんです。

左：竹内一希さん　中：古今亭 雛菊さん　右：田中 永真さん

竹内　今回は僕とは同期の学年で、駒澤大学を卒業後、プロの落語家として活躍されている古今亭 雛菊さんがこのインタビュー企画に駆けつけてくれました！

雛菊　駆けつけちゃいました！田中さんもよろしくお願いします。

田中　落語家さんになったから“雛菊さん”って呼ぶのが正しいと思うんだけど、今日は学生の時に呼んでいた“よっちゃん”で良い？

雛菊　もちろん問題ないです！

竹内　よっちゃんは心染プロジェクトの立ち上げメンバーだったよね？

雛菊　そうそう。

竹内　どういう経緯で心染プロジェクトに参加したの？

雛菊　駒澤落研の先輩が「メンバーを募集してる」って教えてくれて「やってみよう！」って思って。

田中　たぶん、紅能じゃない？

雛菊　あ、そうかもしれないです。

田中　僕が紅能に「駒澤落研から興味ありそうな人いない？」って聞いたら部内で広めてくれたんだ。

竹内　参加してから「出張落語会」とかよく出てたよね？

雛菊　うん。小学校での「出張落語会」はよく憶えてるよ。それこそ田尾さんが子供たちと戯れていて（笑）。今思えば、子供たちはみんな良い子で聴いてくれていましたねぇ。

田中　落語は大学入る前から聴いていたの？

雛菊　いや！全くです。落研に入ったのもたまたまで、居心地が良くて4年間、居続けちゃいました。

竹内　就活はしていたよね？

雛菊　一応やったかな。

田中　就活する前に菊之丞師匠に入門のお願いに行ってなかったっけ？

雛菊　大学3年の3月2日とかだったかな？浅草演芸ホールの夜席に行ったときにたまたまウチの師匠がトリで、「おっ、落語家になろうかな？」ってその日のうちに出待ちして弟子入りのお願いをして。ただ「まだ大学3年生なので、卒業してからまた来ます！」って（笑）。「お前が言うなよ！」って話なんですけど（笑）。

田中　なに予約してんだよ（笑）。

左：田中さん　右：雛菊さん　右手前：竹内さん

雛菊　入門予約をした後も、就活は続けたんですけど、「やっぱり落語家になろうかな」って。それで、またお願いに行って。「もう来ないのかと思ったよ」って言われて。そりゃそうですよね（笑）。「卒業してからまた来ます！」って奴は絶対来ないもん。それで、私の親と面談したりして。

田中　両親は怒ったりしなかった？

雛菊　父が「ウチの敷居は二度と跨がせない！」って怒っていたみたいです。この間、地元帰った時におばあちゃんから聞きました。

田中　本人には言ってなかったんだろうね。

竹内　言ってくれなきゃ、敷居は跨いじゃうよね。

雛菊　余裕で跨いでやったよね。

田中　そういうことじゃないんだよ（笑）！でも、まあ、反対するよね。

雛菊　コネとかではなく、父も知っている地元の会社から内定をもらっていたので。安心させた矢先に断ってしまったので、怒るのも無理はないですよね（笑）。内定先の会社に両親が謝りに行っていたっていうのも、この前知って。私の知らないところで色々あったんだなぁって（笑）。

竹内　そんなに好き勝手やったらそうなるわな（笑）。親御さんの気持ちを考えたら対極の行動だもんね。地元の会社で娘が働くと思っていたら、「落語家になるんだ」っていうんだから（笑）。

雛菊　「落語で食っていく！」って娘から言われたら「馬鹿じゃないの！？」ってなるよね（笑）。

田中　そうだよ（笑）。

雛菊　ずっと落語が好きで『志ん生全集』を抱えているような人なら「ああ、やっぱりね」ってなると思うんですけど、志ん生師匠も知らないような人間がなろうとしたんだから、ビックリしますよね。

田中　心配になるしね。

雛菊　まあ、なんとかここまで来ることができました！

田中　こんなに大丈夫だとは思ってなかったもん。「入門したらしい」って聞いて、すぐにやめるだろうと思っていたから。

雛菊　でしょう？意外ともちました（笑）。てか、メチャクチャ向いてました（笑）。

田中　ははははは（笑）。良かったねえ。

竹内　楽しそうで何よりだよ（笑）。

雛菊　落研にいたとはいえ、落語のなんたるかをほとんど知らずに飛び込んだので、サラの状態で入門して逆に良かったかもしれない。

竹内　素直にね。

雛菊　そうそう。自分で言うのもあれだけど、元々素直な性格なもんで。

竹内　ええ、ええ。そうよ（笑）。

田中　おなじみですけど（笑）。

雛菊　その性格が良い方向に活きたかなぁ。思っていることとか全部出ちゃう馬鹿正直なところとか（笑）。

竹内　周りの先輩方はそういうのを見て、面白くてしょうがないんだろうね。普通の社会だと矯正されちゃうんだろうけど。

雛菊　あ、怒られはするよ（笑）。

竹内　落研とか心染プロジェクトでやっていた落語と、落語界に身を投じてやる落語との違いってどんな感じ？

雛菊　前座期間の落語はやりたくてやる落語じゃなくて、逃げの道具というか。稽古つけてもらえば、師匠ん家のことをやらなくていい！ってなるから（笑）。

竹内　前座さんはやることだらけだもんね。

雛菊　師匠ん家から逃げたい一心で稽古してた（笑）。稽古をしている時は嫌なことを忘れられるから、その逃げの道具だったね。

竹内　この5年くらい？

雛菊　うん。師匠が暇そうだなって時は「師匠！稽古お願いします！」って言って。「ん？おう、何やるんだ？」って返されて、なんも考えてないから、うろたえることはよくあったけど（笑）。

左：雛菊さん　右：竹内さん

竹内　ははははは（笑）。無茶苦茶だよ（笑）。

田中　この話って記事にして大丈夫なの（笑）？

雛菊　全く問題ないです！書いちゃいけないこと言わないので、バシバシ書いちゃってください！真面目に話すと、前座の時はできる落語も限定されているし、師匠の真似から入るので、そこが学生の時と違いますね。落研では落語を使ったお笑いをやってるけど、落語家の落語はそうじゃないから。

竹内　じゃあ、これからやりたい落語をできる期間に入っていくんだね。

雛菊　二つ目になってすぐ他の師匠に稽古をお願いしに行ったもんね。今までは自分の師匠の許可が必要だったけど、それがなくなったから、自分の時間で行けるようになって、やってみたい噺が増えているね。

田中　毎日落語を浴びるわけだもんね。

雛菊　「あれ？落語って面白いな」って（笑）。学生の時やってた落語はなんだったんだろう。あんまり憶えてなくて。

竹内　楽しそうにやってたよ。お！写真だ！

2016年3月15日エクセルシオール千葉　（千葉県千葉市）での「出張落語会」にて『壺算』を演じる雛菊さん

雛菊　丸いな私！プクプクしてる！

田中　『壺算』やったんだ。

雛菊　え！？『壺算』なんて今やれって言われてもできないのに。

竹内　持ちネタには入ってないんだ。

雛菊　『壺算』の仕組みがわからなくて、できないんだよ（笑）。

竹内　ああ、わかるわかる（笑）。

雛菊　楽屋であの噺の仕組みがわからないって、とある師匠としていたら、その場にいた4人中3人が理解してなくて。

田中　ははははは（笑）。そんなもんなの？

雛菊　同類がたくさんいて安心しました。

田中　ゆっくり考えればわかると思うけどなあ（笑）。

雛菊　自分が『壺算』をできていた過去に驚きです。

竹内　僕もわからないから、学生の時には物々交換の話に変えちゃったもん。

雛菊　あ！そうそう。りんごとかおにぎりとか出してたよね（笑）。私も今後やるときはお金をおにぎりに変えちゃおう。

竹内　そうだね！もしやる時はおススメだよ！数字とかお金の計算をするからわけがわからなくなるんだから。

田中　そうまでして『壺算』をやる意味はないだろ（笑）！

雛菊　竹内君の案を持って、雲助師匠に習いに行こうっと。「お金をおにぎりに変えていいですか？」って

※6代目・五街道雲助

田中　雲助師匠がどういう反応をするのか後で教えてほしいわ（笑）。

雛菊　今日は敬老の日だから、雲助師匠から「敬え！」ってメールが来てました（笑）。

※9月19日に収録

竹内　仲良いな！

田中　雲助師匠とメールしているってとんでもないことだけどな！

雛菊　こないだ隅田川を眺めながら、昼飲みしたんですけど。

田中　すごいな！なんだそれ（笑）。なんの話するの？

雛菊　特に中身はなかったと思います。

田中　まあ、それくらいがちょうどいいかもしれないね（笑）。

雛菊　「雛はそのまま素直に生きていきなさい」って言われて。

竹内　そういう話を聞くとよっちゃんが、落語界の一員になったんだなって思うね。学生時代からの友達が雲助師匠と昼飲みしてるって（笑）。

田中　雲助師匠ってすごい人だけどなあ（笑）。

雛菊　あ、自分で言っていましたね「俺、紫綬褒章取ってるんだぜ？」って。

左：田中さん　右：雛菊さん　右手前：竹内さん

田中　談志師匠が“江戸の風が吹いている”って評価した人だよ？

雛菊　今度、江戸の風について詳しく聞いてみます。メールで！

竹内　そういえば、YouTubeのチャンネル開設したよね？

雛菊　定期的に動画を上げられるように準備中しているところ。

竹内　これからはSNSとかでどんどん情報発信していった方がいいもんね。それこそ菊之丞師匠がチャンネルを開設して。落語会を配信したりして、たまに当時のまめ菊（前座名）が出てきてそれを見るのが楽しかったなあ。

田中　楽しみだったね。前座の時の活躍って寄席に行かないと見られないから。

竹内　菊之丞師匠とのロングトークとかさ、裏の様子を見ることってほとんどないから。前座の時から注目浴びてたよね。

雛菊　前座として、師匠の弟子としての姿が映ってるから自然体で出してもらえたんだよね。

竹内　そのおかげか、二つ目披露口演は満員だったよね？

雛菊　その時の様子も師匠のチャンネルに上がっているので、見てほしいです！

左：田中さん　右：雛菊さん　右手前：竹内さん

竹内　高座上がって万雷の拍手をもらって、素で喜んでいて（笑）。

雛菊　もっとカッコよく出たかったんだけど、想像以上にお客さんがいたから、はしゃぎながら出てきちゃった（笑）。

竹内　あれは素直だったね（笑）。

田中　個人的に興味あるんだけど、自分の出囃子ってどうやって決めるの？

雛菊　師匠からおススメされたものとか、お囃子のお師匠に聞いてみたりして決めることが多いですね。私は自分で『証城寺の狸囃子』に決めました。

田中　他の落語家さんと被ったらまずいよね？

雛菊　被るのはだめですね。あとは習わしとして前に使っていた方に尋ねに行きます。

田中　僕も学生の時に『証城寺の狸囃子』で出ていた時があったから、あれを出囃子に使いたくなる気持ちはよくわかるなあ。なんか良いんだよね。

雛菊　ただ、ウチの師匠は「俺が決めたかったのに…。」みたいな顔をしてましたね（笑）。

竹内　ははははは（笑）。

雛菊　二つ目昇進が決まった時に「師匠、一つだけわがまま言っていいですか？」って言って決めたんですけど、後日師匠の奥さんに出囃子決まったことを伝えたら、師匠は「聞いてない！」って顔していて。「なんだよ！リセットじゃねえか」って（笑）。で、改めて聞いて許可をもらいました。

田中　落語家さんのそういう裏側の話を聞ける機会ってないから、聞いていて楽しいわ。

雛菊　私は落語界で一番聞きやすい人間だと思いますので、ジャンジャン聞いてください。

竹内　キンレイさんの商品って食べてる？

雛菊　めちゃくちゃ食べてる！とんでもなく旨いよね。この「鍋焼うどん」が一番好き。ラーメンも捨てがたいなあ。ステマとかじゃなくてキンレイさんの商品は麺が本当に美味しい！　

左：雛菊さん　右：竹内さん

田中　ステマにはなってないよ（笑）。

竹内　「鍋焼うどん」と「味噌煮込みうどん」がリニューアルしたんだよ。

雛菊　マジ！？

竹内　麺もおだしも具材もよりお店の味わいになってね。

雛菊　ほうほう！それは楽しみだなあ！それでまた、“お水がいらない”ってのがありがたいんだよねえ。冷凍でこんな美味しいうどんが食べられますかっ！？って話よね。

田中　最初に食べた時は衝撃的だったもんね。

雛菊　ちょっと落語界にも広めていきます。まずは雲助師匠に！

竹内　最後に心染プロジェクトの現役生に向けて一言お願いします。

雛菊　このプロジェクトに参加して友達も増えて本当に良かったってことかな。キンレイさんの商品とも出会えたし。だから、みんな落語をして、うどんを食べて大きくなりましょう！

田中　いや、そこまで子供相手じゃないから！

雛菊　そうかそうか！皆さん！これからも楽しんでキンレイ心染プロジェクトを続けていきましょう！以上、落語家の古今亭雛菊でした！