■日時:2019/6/30(日)13:00~14:00
■会場:山北町第二児童館 (神奈川県足柄上郡)
■参加者:地域の住民 約60名
■演者:
・頭下位亭 七冬
「六尺棒」
若旦那が夜遅くに家に帰ってくると戸が締まっている。戸を叩いて「息子の幸太郎です」と言うと親父が「ああ、幸太郎のお友達ですか。家にも幸太郎という息子がおりますが、どうしようもない道楽息子で、親族一同協議の上勘当となりましたのでそうお伝えください」と親父の声。若旦那は悪態をついて家に放火しようとするが、親父に六尺棒を持って追いかけられ…。
・二松亭 桜二郎
「片棒」
ケチで評判の、ある商家の主人。年を取りそろそろ先が見えてきたので、三人の息子の内誰に身代を譲ろうか考えた末、金銭感覚を試そうと、自分の死後どういう葬儀を出すか質問をするも返ってくる答えは、自分の理想とはかけ離れたものでどうしようもない。しかし末っ子・梅三郎が質素な葬儀を出すと言い…。
・白亭 彼岸花
「長短」
気がない長さんと気が短い短七性格が真逆なのに仲がいい。あるとき、長さんがタバコをすうのを見て短七さんがじれったくなり「こう吸うんだ」と何服か吸って見せる。そのうちの一つの火球が、タバコ盆に入らずに袂に入ってしまい…。
・奏家 風車
「茄子娘」
ある田舎のお寺に「大きくなったら、わしの“菜”にしてあげよう」と語りかけながら茄子を育てている和尚がいます。ある夜、「茄子の精です」という若い美女が寺へ現れる。事情を聞くと【わしの菜(さい)】を【妻】と勘違いし、現れたという。せっかくなので招き入れ、肩を揉んでもらっているうちに…。
■当日の様子
山北町第一地区社会福祉協議より依頼を受け、出張落語会を開催しました。
開口一番、七冬さんが披露した「六尺棒」では、夜遅くに遊びから帰ってきた道楽者の若旦那と家に入れまいとする大旦那(父親)との水面化の争いに会場は終始笑いが絶えませんでした。若旦那と大旦那の立場が逆転するクライマックスでは盛り上がもピークを迎え、一番手の役割を十分に果たしました。
続いて登場した桜二郎さんは「片棒」を披露しました。ケチで有名な大旦那が望む自分の葬儀と長男、次男が構想するド派手な葬儀とのコントラストで観客を大いに楽しませました。特に次男が構想する葬儀について語る場面ではお囃子を身体全体で表現し、にぎやかに演出。三男の大旦那の上をいく、ケチさに来場者も大いに沸きました。
3番手には今年新たなに加入した日本大学生物資源科学部・落語研究会の白亭彼岸花さんが登場。気の長い「長さん」と気の短い「短七さん」の仲は良いが全く噛み合わない掛け合いに思わず笑ってしまう来場者もおりました。初登場ながら会場を盛り上げる高座を務めました。
トリを務めたのは、「茄子娘」を演じた、風車さん。茄子を熱心に育てるあまり、その茄子が人間になりお礼にやっくる噺を臨場感たっぷりに演じました。心地よく来場者の心をつかんだところで会は幕引きとなりました。
終演後、来場者の方々から「一人ひとり違う落語を聞けて楽しかった」や「パターンの違う面白みを感じることができた」など温かい言葉をいただくことができました。出演した学生も手ごたえを感じた一日となりました。