■日時:2018/12/17
■会場:上板橋区立第二小学校 (東京都板橋区)
■参加者:6年生 約60名
■プログラム
開会あいさつ
プロジェクト説明
落語の基礎講座
食育講座「姿をかえる大豆」
落語の鑑賞①「みそ豆」
落語の鑑賞②「初天神」
食文化講座「うどんの食文化講座」
落語の鑑賞③「時うどん」
実践「落語に挑戦しよう!~食べるしぐさ~」
「落語に挑戦しよう!~みそ豆~」
「練習してみよう」
「披露」
閉会の挨拶
交流給食
■演者
・粋人亭 志ん喬
「みそ豆」
定吉は旦那からみそ豆の煮え加減を見てくるように頼まれる。台床のみそ豆を見た定吉は、あまりに美味しそうだったのでつまみ食い。つまみ食いしているところを旦那に見つかった定吉はお使いに出されてしまう。しかし、その間に旦那も味見をすると・・・。
・富士見亭 雑煮
「初天神」
初天神にお参りに行こうとすると息子の金坊に連れて行けと言われ、何か買ってくれと言わないと約束をして連れて行く。しかし、天神様に近づくにつれ、出店も増えくると「今日は何か買ってくれと言っていないご褒美として何か買ってくれ」とせがみ始める金坊…。
・飯喰亭 おはぎ
「時うどん」
寒い冬の夜、一杯のうどんを半分こにして食べようと、うどん屋を呼び止めた2人の男。うどんは1杯16文。2人合わせて15文しか持っていなかったが知恵の働く兄貴分は、うまいこと勘定を1文ごまかす。それを見ていた弟分は「自分もマネしてみよう」と翌日意気揚々と出かける・・・。
■当日の様子:
師走も半ばを過ぎ木枯らしの吹きすさぶ12月中旬。
東京都板橋区立上板橋第二小学校にて出前授業の依頼を受け6年生約60人を対象に伝統芸能である「落語」と日本の「食文化」への関心・理解を深める「出前授業」を開催しました。
落語の基礎講座では事務局スタッフが“落語とは何か”を説明。生の落語を聴いたことがない児童がほとんどで、高座の説明や話芸としての特長、扇子や手ぬぐいの使い方など熱心に聴いていました。次に管理栄養士である事務局スタッフより『みそ豆』の題材である「大豆」に加工を加えるとどう変化するのかについてクイズを交えながら講義を行いました。児童たちは積極的に挙手をし、豆乳やおから、味噌、醤油、湯葉などができる過程を学び、大豆が日本人の食生活に欠かせない食材であることを学びました。
そして最初の演目、一橋大学の粋人亭志ん喬さんによる『みそ豆』を観賞。登場する熱々の『みそ豆』を食べる仕草はコミカルで「ふうふう」とみそ豆を吹く演出では一緒になって、マネする児童もいました。
続いて、法政大学の富士見亭雑煮さんは『初天神』を演じ、初天神へお参りに向かう道中で父に駄々をこねる金坊を熱演。多様な表情や仕草に笑いを堪えるのに精一杯の児童もおり、団子や凧あげなど落語から日本の文化を楽しく学びました。
4時間目では「うどんの食文化講座」を行い、うどんの歴史・材料、江戸時代の屋台文化などを浮世絵や写真などの資料から具体的に、うどんの食文化について学んでもらいました。講座では「出前授業」での演目の一つである『時うどん』を聴く際のポイントを解説。
そして、日本大学の飯喰亭おはぎさんが高座に登場し『時うどん』を演じました。一文ずつ勘定を払う途中で“刻”を聞くことで1文ごまかした兄貴分と、それをマネして4文損をした弟分の掛け合いには児童だけでなく担任の先生方も聞き入っていました。うどんやだしを啜る場面では実際に食べていないのにどう見せているのか、見様見真似で挑戦している児童もいました。
その後、観賞した「みそ豆」や落語の仕草を学生落語家から指導され、各クラス数名が高座に上がり、クラスメイトに披露しました。
授業後、学生落語家たちは各クラスで児童と一緒に給食を食べ交流を深めました。献立は、栄養士の先生が特別献立として考案した『江戸文化給食』。江戸時代のうどん屋台にメニューとしてあった、あんぺいうどん・みそ豆を落語の世界を想像しながら食べている様子がうかがえました。また児童からは学生落語家や事務局スタッフへも質問があり、多くの児童とコミュニケーションをとることができた交流給食でした。
伝統文化の一つである落語に触れあうとともに、現代の食生活のルーツとも言える、江戸の食文化への関心を深める1日となりました。