■日時:2018/7/26 14時30分~16時10分
■会場:東京家政大学 三木ホール
■参加者:東京家政大学附属女子中学校2~3年生、附属高等学校1年生、教職員
■プログラム
開会の挨拶
落語の基礎講座
「時うどん」
食文化講座「落語から紐解く江戸の暮らしと食文化」美
「目黒のさんま」
「猫の災難」
質疑応答
閉会の挨拶
■演者
・雛菊亭 桔梗
「時うどん」
屋台のうどん屋で、男二人が寒い冬の日に屋台のそばを二人で一杯食べようとした。友達がお世辞を言って勘定1文をごまかすところを目の前で見ていた、もう1人のぼーっとした男。「よし、自分もマネしてみよう」と、翌日早めにうどん屋に行くが…
・ 志家 ばーにぃ
「目黒のさんま」
ある日、目黒へ鷹狩りに出かけたお殿様。お腹が空いたところ、民家からサンマの焼けるいい匂いが漂ってきます。お殿様は初めて食べるサンマを大層気に入り、来る日も来る日もその味が忘れられません…。
・ 努三亭 勝虎
「猫の災難」
いつも酒を飲みたいがお金のない熊五郎。ある日隣のかみさんに声を掛けられ、見ると大きな鯛の頭と尻尾をもっていた。猫の病気見舞いの食べ残しを捨てに行くというので、もったいないともらい早速、鯛を肴に酒を飲もうとするが肝心の酒がない。その時友達がやってきて…。
■当日の様子:
梅雨も明け、本格的な夏を迎えた日、 東京家政大学附属女子中学校・高等学校の教育プログラムの一環とした、Kaseiセミナー(未来学力集中講座)にて出前授業を依頼され、中・高生51名に向けて、大学生落語家による落語の実演と管理栄養士による食文化講座を行い、日本の伝統文化への関心・理解を深める活動を行いました。
篠澤校長先生による閉会の挨拶の後、桜美林大学4年生雛菊亭桔梗『時うどん』を演じました。
初めて落語を聴くという生徒さんがほとんどな中、本題前のマクラで落語の基礎講座をし、初めての落語への敷居を下げ、会場の雰囲気を和らげます。『時うどん』のだしや麺をすするシーンには、思わず学生さんも釘付け。食べるシーンは落語の醍醐味の1つです。勘定の途中に、時刻を聞くことで1文お金をごまかす場面には、生徒さんも騙されたという感想も。
続く2演目の前に、事務局スタッフの管理栄養士から「落語から紐解く江戸の暮らしと食文化」と題した食文化講座を行いました。「時うどん」のストーリーを解説し、うどんの歴史、江戸時代の屋台文化、物価、時刻の数え方など文献資料を用いて講義し、現代の食生活の基盤を築いたともいえる、江戸時代の食文化への理解をクイズも交えながら深めてもらいました。
食文化講座後、日本大学4年生の志家ばーにぃさんによる「目黒のさんま」。庶民の魚であるとされていた江戸時代、サンマなど食べた事がないお殿様。ある日、旬のサンマを始めて食べ、あまりの美味しさにそれ以来、さんまの事ばかり考えてしまう。数年後、恋焦がれたさんまを食べる機会が訪れるが出てきたのは思い出とはかけ離れたさんま料理。食べた殿様は一言「やはりさんまは目黒に限る」。愛くるしい殿様を演じ会場をほっこりさせました。
トリを飾ったのは、「猫の災難」を披露した駒澤大学3年生努三亭 勝虎さん。いつもお金はないが、酒を飲みたい熊五郎。ある日隣のおかみさんから猫の病気見舞いの食べ残しを捨てに行くところに出くわす。驚いた熊五郎、病気見舞いの品は立派な鯛でした。そこへ友達がやってきて、立派な鯛の頭だけ見て、「酒は俺が買ってくる」と友達はでかけてしまう。酒を買って戻ってきた友達に、鯛は猫の食べられてしまったと嘘をつきごまかすが、友達は鯛を買いにまた出かけてしまった。残った熊五郎、今後は酒を全部飲んでしまい、また猫のせいにしようとする。そんな熊五郎と友達の入れ違いを緩急を付けて熱演し、会場を魅了させました。セミナーの最後に質疑応答を行い、生徒からは学生落語家や事務局スタッフへの質問があり、生徒さんとの交流も生まれました。
終了後のンケートでは「1人で複数の登場人物を演じ分け、扇子と手ぬぐいで色々な物を表現していて、想像がかきたてられました。」「落語から江戸の生活や食文化を知ることができ、和食の歴史に興味が湧きました。とても楽しかったです。」など感想を頂き、伝統文化の一つである落語に触れあうとともに、現代の食生活のルーツとも言える、江戸の食文化への関心を深める1日となりました。