活動報告

帝京平成大学 フレッシュセミナー【食育・出前授業】】

■日時:2018/1/9

■会場:帝京平成大学 池袋キャンパス (東京都豊島区)

■参加者:1年生 約80名

■プログラム
開会あいさつ
プロジェクト説明
落語の観賞「時うどん」
食文化講座「落語から紐解く江戸の暮らしと食文化」
落語の観賞「禁酒番屋」
落語の観賞「青菜」
閉会あいさつ

■演者:
・霜月亭 雪走
「時うどん」
屋台のうどん屋で、良くしゃべる男がお世辞を言って勘定1文をごまかすところを目の前で見ていた、もう1人のぼーっとした男。「よし、自分もマネしてみよう」と、翌日早めにうどん屋に行くが…。

・地獄家 独眼鉄
「禁酒番屋」
殿様から禁酒令の御触れが出された。酒好きの近藤様にお酒を届けなくてはならない。酒屋の小僧は、水カステラだの、油徳利だの小細工をして番屋を通り抜けようとするが…

・田町家 麦丸
「青菜」
夏のある日、ご隠居の家で仕事を終えた植木屋は、労いに酒やご馳走を頂いた。青菜を頂くことになり、隠居は台所の奥さんを呼ぶ。「鞍馬から牛若丸が出でまして、名も九郎判官(くろうほうがん)」と不思議な返答をする。すると隠居は、「ああ、義経にしておこう」と言ってすませてしまった…

■当日の様子:
帝京平成大学1年生対象フレッシュセミナーから講師として《キンレイ心染プロジェクト》へ依頼を頂戴し、食文化講座と大学生による落語を披露しました。落語を通じて、江戸の食文化への理解を深めてもらうことを目的に、食べ物(和食)を題材にした3つの噺をお届けしました。

落語1つ目は、成城大学4年生霜月亭雪走さんが『時うどん』を演じました。初めて落語を聴くという学生さんがほとんど。本題前のマクラでは、落語とは何かという説明をするとともに、笑いを沸かせて、会場の雰囲気を和らげます。時うどんのだしや麺をすするシーンには、思わず学生さんも釘付け。食べるシーンは落語の醍醐味の1つです。勘定の途中に、時刻を聞くことで1文お金をごまかすというトリックには、学生さんも気が付いた様子でした。

続く2演目の前に、事務局スタッフの管理栄養士から「落語から紐解く江戸の暮らしと食文化」と題した食文化講座を行いました。「時うどん」を食文化の切り口から解説しました。浮世絵や文献資料を用いながら、江戸時代の外食産業は屋台だったという歴史や、お品書きを読み解くことで見えてくる「うどん1杯=16文」という価格、また、うどんに欠かせないだし文化などについて、途中クイズも交えながら学んでもらいました。

2つ目は、桜美林大学2年生の地獄家独眼鉄くんによる「禁酒番屋」。殿様から禁酒令の御触が出されたが、酒好きな近藤様へ、どうにかしてお酒を届けようと奮闘する噺です。酒屋の小僧は徳利にあれこれ小細工を加えます。カステラの木箱に徳利を詰めた“水カステラ”、油の瓶に酒を入れた“油徳利”などなど…。しかし、番屋での取り調べにことごとく見抜かれてしまい失敗。湯のみで酒を飲む仕草や、どんどん酔っ払っていく独眼鉄君演じる番人の演技は見物でした。

最後は、法政大学2年生田町家麦丸さんが「青菜」を披露しました。ご隠居の座敷で出されたのは鯉の洗いという鯉のお刺し身。当時、氷は高価なもの。鯉の洗いとは、氷を敷いた刺し身で大変贅沢な料理です。対する長屋住まいの植木屋の家では、鰯の塩焼き。お金持ちと庶民の生活の格差を、魚でも表現している点が、食文化の視点から見たこの噺の面白みの1つでもあります。

大学生による落語の披露は、同世代である大学1年生にとって新鮮な存在に映ったように感じました。伝統文化の一つである落語に触れあうとともに、現代の食生活のルーツとも言える、江戸の食文化への関心を深める1日となりました。

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